遺伝子組換え技術とはどのようなものですか。
又、遺伝子組換えにはどのようなメリットがあるのですか?
人類は非常に古い時代から、食料を効率よく確保するために、植物や動物を交配して改良してきました。日常の生活で食べている米、野菜、肉などほとんどのものがこのような交配などにより作られたものです。
遺伝子組換え技術は、このような生物の持つ機能を上手に利用するために開発された技術の1つで、ある生物から目的とする有用な遺伝子だけを取り出し、改良しようとする生物に導入することにより、新しい性質を付与する画期的な技術です。
遺伝子組換え技術には以下の長所があります。
@従来の交配では、全ての遺伝子が係わるので、目的とする形質に係わる遺伝子以外に何の遺伝子が導入されたものか分からない。それに対し、遺伝子組換え技術では目的とする有用遺伝子のみが導入されます。
A 従来交配が難しかった作物などの間でも、有用遺伝子を取り出して導入することが可能となり、農作物の改良範囲が広がりました。
B作物の育種期間が短縮されました。(従来の交配・選抜方法では、新しい作物を育種するのに10年以上必要であったが、遺伝子組換え技術では、比較的短い期間で新品種を作ることが可能になりました。
現在、遺伝子組換え技術により実用化されている害虫抵抗性や除草剤抵抗性のとうもろこしや大豆などは、農業生産者にとってのみメリットがあるように考えられていますが、農薬などの使用量減少など、環境にやさしい農業が可能になり、更には農産物の安定生産によりコストの低減につながり消費者にとっても大きなメリットがあります。
その上、現在の時点では実用化には至っていないが、アトピー性皮膚炎などのアレルギーを引き起こすタンパク質を少なくした低アレルゲン米や飽和脂肪酸の量を少なくし、動脈硬化などの循環器疾患を予防できるとされる大豆などの新しい分野への開発が期待されます。
A01
遺伝子組換え農産物の安全性はどのように確認しているのですか?
遺伝子組換え農産物は、政府が国際調和という考え方のもとで2004年に施行されたカルタヘナ法(遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律)に従い、環境省、経済産業省、財務省、文部科学省、厚生労働省、農林水産省の6つの省がかかわって安全性の確認を行っています。
(出典:社団法人 農林水産先端技術産業振興センター)
食品の場合は、食品衛生法に基づき内閣府食品安全委員会がリスク評価を行い安全性が確認されたもののみが市場に流通するような仕組みになっています。平成23年2月現在で安全性審査の手続きを受けたとうもろこしは88品種あります。
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A02
「実質的同等性」あるいは「同等とみなし得る」とは、食品としての安全性を審査するために、既存の食品を比較対象として用いるという方法が適用出来るということです。そもそも、ある食品が100%安全であると科学的に証明することができません。従って、食品としての安全性を審査するためには、(1)まず、比較対象として充分な食経験がある既存の食品を選び出し、(2)それと比較した上で、安全かどうかを判断する、という2つの段階が必要になります。実質的同等性とは(1)の比較対象を定める時に用いられる考え方です。
「同等とみなし得る」かどうかの判断は、1)遺伝的素材に関する事項、2)広範囲なヒトの安全な食経験に関する資料、3)食品の構成成分等に関する資料、4)既存種と新品種� �使用方法の相違に関する資料の各要素について検討し、当該食品植物と既存のものが全体として食品としての同等性を失っていないと客観的に判断できるかどうかにより行われます。